老人と老犬。
若い時しか犬は飼えない、と思っている。
当に、を目にするこの頃。
パチンコ屋の駐車場で老人は腰掛け、柴の老犬は頭を垂れ立っている。
若かりし頃(若いといっても50はとうに過ぎているよう)は夫婦が交代で散歩をしており、犬は家に居る時間より散歩の時間が長いだろうと思われるほどだった。
柴は長命が多いので、散歩の夫婦を見かけるたびに元気で長生きできますようにと思っていた。
数年前から妻を見かけなくなった。
夫と犬は同じような老け方で散歩をしていが、散歩をしなくなったわたしはたまに車窓から見るくらいだった。
今年の暑い夏、夕方に車で買い物に出ると、まだ陽は高く路面も熱かろうにパチンコ屋の駐車場で見かけるようになった。
いつもじっとしている二人だが、先日は動いていた。
夫は自分の足の半分の歩幅で歩き、犬はヨチヨチと二歩動き止まるを繰り返す。
そこに見える自宅でも、今の夫と犬ではどれだけ時間がかかるのだろう。
途中、どちらかが倒れたらその後どうするのだろう、と他人事ではあるがてんこ盛り気になる。
年をとってからは犬は飼えない。